
庭やベランダ、駐車場に芝生を張るとき「天然芝がいいか、人工芝がいいか」悩みますよね。
天然芝を張るときは、植物同様に扱わないといけないためしっかり検討する必要があります。
一方で、人工芝を敷く場合はDIYもできるためデメリットや失敗例も把握しておく必要があるでしょう。
今回の記事では、天然芝と人工芝の特性やそれぞれに配慮すべき点について解説します。
芝生の種類は?
芝生は主に、「暖地型芝草(夏芝)」と「寒地型芝草(冬芝)」の2種類に分類されます。
暖地型芝草は、日本の気候や環境に適した日本芝で高温・湿気に強い性質も持ち、暑さに強いです。
一方、寒地型芝草は、寒さに強く冬でも緑の芝のままであり、西洋芝にあたります。
ゴルフ場・サッカー場の芝生は西洋芝なことがほとんどです。
では、それぞれの特徴や品種を見ていきましょう。
日本芝/暖地型芝草(夏芝)
日本芝は、温暖気候の土地に適しており、30度以上の夏日にも耐えられる特徴があります。
その一方で10度以下になると成長が止まる特性があり、秋〜冬にかけては「冬枯れ」を起こします。
冬枯れとは、休眠状態のことで芝の表面が褐色しますが地面より下部分は生きているので、春になると芽をつけ生育を再開させます。
日本芝の品種 | 特徴 |
高麗芝(コウライシバ) |
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姫高麗芝(ヒメコウライシバ) |
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野芝(ノシバ) |
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西洋芝/寒地型芝草(冬芝)
西洋芝は、冬でも青い芝が特徴的です。
5度前後から生育をはじめ、15〜20度あたりが適温、30度以上の猛暑が長期間続くと「夏枯れ」を起こしやすくなります。
夏枯れとは、葉が茶色く変色し一部分、または全体が枯れてしまいます。
枯れてしまった芝生を復活させることは難しく、綺麗な芝生に戻す場合は新しいタネを撒いて育てるしかありません。
西洋芝の品種 | 特徴 |
ケンタッキーブルーグラス
(ブルーグラス系) |
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ペンクロス
(ペントグラス系) |
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ペレニアルライグラス
(ライグラス系) |
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ティフトン
(バミューダグラス系) |
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芝生を張る前の準備
芝生を張るときは、事前に土の環境を整える準備をしなければなりません。
まずは芝生が得意とする土壌を知りましょう。
日本芝は乾燥に強いので砂土でも育ちますが、西洋芝は暑さに弱いため保水力がある土を混ぜる必要があります。
一方、粘土質の土は水も空気も通さないため芝生が育ちません。
同様に水はけが悪い土も、育ちが悪くキノコや苔が生えてしまうかもしれません。
水はけがよく、保水力もある土を作りましょう。
土壌改良する
まずは、土を改良して芝生が根付きやすい土にします。
芝生が根付くには、15cmほどの土が必要になるため、スコップを使い土全体を深く掘り起こします。
小石・雑草を取り除き、土壌改良材や有機肥料を混ぜ合わせて調整しましょう。
水はけがよい土ならそのまま、悪いならば砂を混ぜるといいです。
土づくりに便利な道具
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土を平らにならす
土の調整が済んだら平らにならしていきます。
ポイントは、水がはけやすいように緩やかな傾斜にしておくこと。
水はけが悪いと芝生が育ちにくくなる他、ボコボコの芝生になる可能性もあります。
ボコボコになると水たまりができてしまい、キノコや苔が生えてしまったり、肥料が水に溶けて部分的に固まり効果にムラがでてきたりします。
ボコボコの芝生になると修正作業が大変になるため、準備段階でローラーやトンボで土を整え水はけのいい土に仕上げましょう。
地ならしに便利な道具
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水を撒いて様子をみる
土が整ったら水を撒きます。
これは土を固定し、安定させるためです。
作ったばかりの土はまだ養分が分解できておらず、数日ほど置く必要があります。
土の再生には2週間ほどかかるため、その間に水を撒いて土が固まるよう様子をみましょう。
芝生の張り方
芝生の張り方は主に4種類あります。
ベタ張り・目地張り・市松張り・すじ張り、それぞれメリットデメリットがあるので、張り方と併せて解説します。
ベタ張り
ベタ張りとは、隙間なく芝生を敷き詰める方法です。
別名、平張り、全面張りとも呼ばれます。
切り芝を一列目に並べて、二列目は半分ずらして並べます。
初心者でも簡単にでき、すぐに芝生を完成させられるため早く楽しみたい人におすすめです。
ただし、全面に張ることからたくさんの切り芝が必要になります。
目地張り
目地張りとは、切り芝の間隔を3〜5cmほどあけて張る方法です。
ベタ張りと同じように列ごとに半分ずらして並べます。
切り芝の間隔スペースは、春になり芝生の成長とともに目立たなくなります。
目地が埋まるまで時間はかかりますが、コストを抑えたい人におすすめです。
市松張り
市松張りとは、切り芝を一枚ずつ市松模様のように張る方法です。
格子状に交互に張るため切り芝の量は格段に少なく済み、コストを抑えられます。
春に芝生を張り順調に育てば、冬には全面に芝生が広がるでしょう。
ただ、全面に芝生が揃うまでに時間がかかるため雑草の処理はしなければなりません。
手間をかけられる、長期的に育てられる人におすすめです。
すじ張り
すじ張りとは、芝幅を5〜10cmに切った芝生を横一列に並べる方法です。
列と列には10cm程度のスペースをあけるようにしましょう。
斜面に張ることもできますが、ずり落ちてこないようにピンで固定します。
目地張り・市松張りと同様に、全面に芝生が育つまでに時間がかかり、手入れも必要です。
庭の芝張りの適切な時期は?
芝張りに適した時期は、3月中旬〜5月末あたりまでと言われていますが、真夏・真冬を避ければいつ行っても問題ありません。
ただ、5月末あたりまでと言われているのには理由があります。
梅雨時期前に芝生を張っておくことで雨による水撒きが不要になり管理が楽になること、そのあと温かい季節になれば芝生の生育をサポートしてくれます。
基本的にいつ行っても問題ない芝張りですが、秋に張るとすぐに冬になり芝生の成長が止まってしまうので控えるのがベターでしょう。
芝張りの費用相場
芝張りは自分でもできますが、ボコボコな仕上がりになってしまうと水たまりによるリスクや芝刈りのリスクが伴う可能性があります。
天然芝張りを業者に依頼する場合、費用はおよそ1㎡2,000円〜です。
ただし、別途材料費がかかったり、処分費がかさんだりすれば価格は変わるため必ず見積もりをとるようにしてください。
地域や業者によっても費用が変わります。
人工芝のメリット
日本芝・西洋芝はどちらも天然芝のため、植物を育てるようにこまめな手入れをしなければなりません。
メンテナンスが比較的簡単で、青々とした芝生を楽しみたい人には「人工芝」がおすすめです。
他にも人工芝には多くのメリットがあるので、順に確認していきましょう。
耐久性が高い
人工芝は、主にナイロン・ウレタン・ポリエチレンといった耐久性が高い素材で作られているため劣化に対して抵抗することができます。
そのため、屋外に芝を敷いても長い間きれいな状態を楽しめます。
定期的なメンテナンスが不要
天然芝と違って、水やり・肥料・芝刈りなどのメンテナンスは要りません。
気になったときに掃除機でゴミを吸い取ったり、雑巾で拭いたりするだけで十分です。
ただし、汚れたら放置せずにすぐに対処しないと劣化が早まります。
きれいな芝生を一年中楽しめる
一年中きれいな芝生を眺められるのも人工芝だからこそのメリットです。
正しく人工芝を敷いておけば雑草も生えにくいため、景観が乱れる心配もありません。
元気な青い芝と枯れ芝をミックスした人工芝であればよりナチュラルな芝生に仕上がります。
芝生を敷く場所を選ばない
人工芝は、敷く場所を選びません。
庭はもちろん、室内やベランダ、日当たりが悪い場所にも敷くことができます。
一方、天然芝の場合、日当たりが悪いときれいに育たず均一の芝生にするのは難しいでしょう。
人工芝であれば、年中どんな場所でも変わらず美しさを保てます。
維持費がほとんどかからない
維持費がほとんどかからないのも人工芝のメリット。
天然芝の場合、芝刈り費(芝刈り機)・除草剤・肥料といったメンテナンスのための費用がかかります。
メンテナンスを実行する時間もかかるため、トータルで見ても維持費の差は大きいです。
雑草が生えにくくなる
人工芝を敷いておくと雑草が生えにくくなります。
施工のときに防草シートを敷いてから人工芝を敷くため、以前と比べて雑草が減るのです。
ただし、防草シート・人工芝ともに正しく敷いておかないと効果は実感できません。
たくましい雑草はちょっとの隙間でも生えてくるため、細かな部分にもきっちりと芝生を敷くことが大切です。
また、雑草が減ることで虫の餌がなくなるため必然的に虫も出にくくなります。
子ども・ペットが遊べる
コンクリートでは怪我を心配して全力で遊べなかった子どもも、芝生なら走り回って転けても大きな怪我は起こりにくいです。
また土で泥だらけになることもないため、ペットも一緒に遊びやすいでしょう。
天然芝の場合、走り回ると擦れによる劣化が生じますが、耐久性の高い人工芝ならめいっぱい楽しむことができます。
人工芝のデメリット
庭に敷くのにぴったりな人工芝ですが、デメリットもあります。
デメリットを理解して人工芝とよいお付き合いをすることが大切です。
耐熱性は弱い
人工芝は熱さに弱い一面があります。
とはいえ、110℃くらいであれば耐えられますが、それ以上となると溶けるかもしれません。
バーベキューや花火といった燃える危険があることは控えるようにしましょう。
DIYする場合は手間がかかる
業者に依頼せずにDIYで人工芝を敷くこともできます。
しかしそれなりの知識や技術、センスが必要です。
庭全体のセンスや庭を整える技術、防草シート・芝生を敷く技術が最低限求められるのです。
とくに芝生を敷くのはとても難しく、切れ目なくつなぎ合わせたり、家・庭の形状に合わせて切ったりしなければなりません。
人工芝をDIYするとなるとそれなりの手間がかかってくるのです。
景観が変わらないので季節感はない
一年中きれいな芝生をキープできるのは、人工芝のメリットではありますが、景観が変わらないため季節感がないというデメリットにもなります。
街は秋っぽい色なのに、庭だけ青々した芝生だと違和感があるかもしれません。
ただ、季節感の有無は個人差があるので「それよりも動きやすい芝生がいい」のであればメリットですし、「冬の枯れた葉が好き」なのであればデメリットになるでしょう。
8年くらいで芝生の交換時期がくる
人工芝はメンテナンスが不要で永久に使えるイメージがあるかもしれませんが、劣化が遅いだけで交換の時期は訪れます。
人工芝の耐用年数は約8年程度、これを短い、長いと捉えるかは個人差です。
ただ、これは一般的に言われている年数であり、必ずしも8年で張り替えになるかは状態次第です。
DIYの場合は、1年〜3年程度で交換になることもあります。
経年により芝が抜けたり寝たりする
人工芝は長期間使うにつれて芝の毛が寝てしまいます。
これはどんなに質の高い芝生を使っていても起こることです。
デッキブラシでブラッシングすれば、毛を起こすことができるので対策できます。
ただ、このような作業を行うことが手間になりデメリットと思うかもしれません。
人工芝をDIYしたときの失敗例と注意点
人工芝を自分で敷くこともできますが、簡単なことではありません。
「DIYして失敗した…」というお声もよく届き、一からやり直しになる場合もあります。
ここでは、失敗例を踏まえた注意したい点を解説します。
失敗例①チープな芝生になった
芝生がチープな仕上がりになることがあります。
これは安価な人工芝を敷いてしまったことが原因に考えられます。
安価な人工芝は、品質が悪く密度が低い傾向にあり、抜けてしまいやすいです。
人工芝は価格の割に品質がよく見えるため、ついお手頃な芝生でコストを抑えたくなりますが品質にこだわった人工芝を選ぶようにしましょう。
失敗例②色あせて劣化した
人工芝が色あせた…なんてこともよくある失敗です。
安価な人工芝を敷いたことも原因の一つに考えられますが、紫外線対策を施していないことも原因になります。
UV加工されている人工芝が売られているので、購入の際は検討してみてください。
失敗例③表面がボコボコしてる
せっかく敷いた人工芝の表面がボコボコしていては景観が損ねられます。
見た目の問題もありますが、つまずいたり転けたりといった危険が生じることもあります。
ボコボコしていることで、水たまりができ水はけが悪くなることで芝生に虫やカビが生えるかもしれません。
人工芝の表面がボコボコしてしまうのは、芝張り前の整地を均等にできていなかったからです。
小石・雑草は取り除き、土は平らにし、土壌をよく固めることが大切です。
失敗例④配管周りが不揃い・破損
芝生を敷くときに配管周りに手こずらされて乱雑になってしまうことがあります。
とくに室外機、雨といの周辺をきれいに敷くのは難しく知識と技術が必要です。
失敗してしまうと芝生が浮いてきてしまうため、DIYするときは丁寧に時間をかけて行いましょう。
失敗例⑤つなぎ目から雑草が生えてきた
土を整えるときに雑草処理したのに、つなぎ目から雑草が生えてくることがあります。
そもそも人工芝に防草効果はありません。
そのため生命力が強い雑草の場合、時間の経過とともに再び生えてくるのです。
雑草が生える可能性がある場所に人工芝を敷くときは必ず防草シートを敷いてから人工芝を敷くようにしましょう。
景観を損なうことなく雑草対策ができます。
失敗例⑥カビが生えた・虫が湧いた
時間とお金をかけてDIYしたのにカビが生えた、虫が湧いたら全面張り替えまたは、処分することになります。
カビや虫がいる芝生は不快ですし、子ども・ペットを遊ばせるのも不安です。
カビや虫が発生する原因は、人工芝の下に雨水や湿気が溜まったままになっているから。
必ず人工芝の裏面に「透水穴」が開いているものを選びましょう。
透水穴とは、人工芝の裏面に均一に開いている穴のことで、水が流れやすくなっています。
また、雨のあとも乾きやすく、水はけがよい人工芝です。
人工芝張りの費用相場
人工芝を業者に頼んだ場合、およその費用にはなりますが1㎡10,000円〜が相場になります。
ただし、材料費や関連材料、設置場所によって価格が変わります。
また地域、業者にもよるため必ず見積もりをとりましょう。
DIYするより費用はかさみますが、失敗した場合の修繕作業を考えるとコストが抑えられるかもしれません。
初期費用はかかりますが、人工芝ならメンテナンス費用や時間が減少できるのでおすすめです。
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砂利敷き |
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※あくまで費用相場になります