ワスレナグサの育て方|水切れ対策とこぼれ種で毎年咲かせるコツ

春の訪れとともに、優しく静かなブルーの小花をこんもりと咲かせるワスレナグサ(勿忘草)。 

イングリッシュガーデンやナチュラルな雰囲気のお庭には欠かせない名脇役です。

ロマンチックで儚げなイメージが強いお花ですが、実は「こぼれ種で雑草化するほどタフ」「とにかく水が大好きで乾燥に極めて弱い」という、少し意外で尖った性質を持っています。 

今回は、ワスレナグサの基本特性や種類、植えてはいけないと言われる理由から、絶対に乾かさない水やりのコツ、花後の管理まで徹底解説します。

 

ワスレナグサとは?

名前 ワスレナグサ
種類 ムラサキ科ワスレナグサ属
開花時期 4月〜6月
花色
  • 青
  • ピンク
  • 白
    …など
生息環境
  • 公園
  • 野原
  • 水辺
    …など

 

ワスレナグサは、ムラサキ科ワスレナグサ属に分類される植物です。
本来の原産地であるヨーロッパでは多年草ですが、暑さに非常に弱いため、日本の気候においては春に花を咲かせて夏前に枯れる一年草として扱われます。
日本で最も広く流通しているのは、シンプレックス(エゾムラサキ系)という品種です。
澄んだスカイブルーの小花をびっしりと咲かせ、どんな庭にも調和します。
最近では、品種改良によりロゼア(ピンク)やアルバ(ホワイト)などもあります。

ワスレナグサにまつわる悲恋の伝説と花言葉

ワスレナグサを象徴する代表的な花言葉は「私を忘れないで」「真実の愛」です。

この名前と花言葉は、中世ドイツの悲しい恋の伝説に由来しています。
騎士ルドルフは、恋人ベルタのためにドナウ川の岸辺に咲く美しい青い花を摘もうとしますが、足を滑らせて急流に流されてしまいます。
彼は最後の力を振り絞って摘んだ花を岸に投げ、「私を忘れないで!」と叫びながら水底へ沈んでいきました。
残されたベルタは、生涯その青い花を髪に飾り、彼の言葉を花の名前にしたとされています。

お庭に馴染むワスレナグサの品種

定番のブルーのほか、前項にあるピンク(ロゼア)や白(アルバ)を組み合わせることで、お庭のグラデーションがぐっと豊かになります。
園芸店では、ミオソティスという学名で苗が並ぶことも多く、草丈が15cmほどに収まる矮性(わいせい)品種から、40cmほどに育って切り花にできる高性品種まで、用途に合わせて選ぶことができます。

ワスレナグサを植えてはいけないと言われるのはなぜ?

ワスレナグサの可憐さとは裏腹に、ガーデニング上級者の間では「ワスレナグサを安易に地植えしてはいけない」と言われることがあります。
その最大の理由は、こぼれ種による爆発的な繁殖力にあります。
ワスレナグサは1株から膨大な量の種を周囲に撒き散らし、環境が合えば、翌秋には信じられないほどの数の芽が一斉に吹き出し、他のデリケートな草花を覆い尽くして雑草化してしまうのです。
また、横に広がりながら茂るため、アプローチ(通り路)の脇に植えると通路を塞いでしまい、雨の日に踏まれてドロドロに傷んで見栄えが悪くなることもあります。
植える際は増えても良い広いスペースに限定し、通路からはみ出さない場所を選ぶことが大切です。

ワスレナグサを枯らさないための栽培ルールと水やりのコツ

多くの草花は、乾かし気味に育てるのが基本ですが、ワスレナグサは逆です。
水切れ(乾燥)=死と言っていいほど、水分を必要とします。
原産地の湿地のような環境を好むため、一度でも土が完全に乾いてしまうと、一瞬で葉がチリチリに枯れて元に戻らなくなります。
鉢植えで育てる場合は、土の表面が乾き始める手前(少し色が薄くなってきた頃)で、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えてください。
春の晴天の日は1日2回の水やりが必要になることもあります。
地植えの場合も、乾燥しやすい場所は避け、やや湿り気のある半日陰(木漏れ日が差すような場所)に植えてあげると、水やりの手間が減り、驚くほど元気に大株へと育ちます。

ワスレナグサがひょろひょろに徒長した・倒れたときのリカバリー方法

ワスレナグサは日光を求めて茎を長く伸ばす性質があります。
日当たりが悪い場所や、栄養(肥料)が多すぎる土壌で育てると、茎がひょろひょろと細く間伸び(徒長)し、雨や自重でベタッと地面に倒れてしまいます。
もし倒れて不格好になってしまった場合は、以下の手順でリカバリー(切り戻し)を行いましょう。
倒れたり伸びすぎたりした茎を、株元から約3分の1〜半分の高さで思い切って水平にカットします。
ワスレナグサは非常に芽吹く力が強いため、切ることで株元に日光が当たり、1〜2週間ほどで新しい元気な脇芽がブワッと茂り、再び美しく引き締まった草姿で花を咲かせてくれます。

花が咲き終わったワスレナグサはどうする?

季節が移り変わり、5月下旬〜6月頃に花のピークが終わった後の、ワスレナグサならではの正しい処理方法です。

日本の気候では夏に枯れる一年草と割り切る

日本の夏は、ワスレナグサにとって耐え難い過酷な猛暑です。
どれだけ日除けをして水をやっても、6月を過ぎると株が下からどんどん黄色く枯れていきます。
多年草だからと無理に夏越しをさせようとせず、日本では梅雨前に枯れる一年草と割り切って管理するのが、お庭をきれいに維持するための最もスマートな付き合い方です。

こぼれ種で来年も花を咲かせる花後の残し方

「来年も同じ場所でタダでワスレナグサを咲かせたい!」という場合は、花が終わった後にあえてすぐには株を抜かず、2週間ほどそのまま放置しましょう。
花が咲き終わると、茎の先端に緑色の小さなイガのような実(種)がつきます。
これが茶色くカラカラに乾くまで放置しておくことで、自然に種が周囲の土にこぼれ落ちます。
全体が完全に茶色く枯れた頃を見計らってお片付けをすれば、すでに地中には来年用の種が仕込まれた状態になり、秋(10月頃)には自然と新しい芽がポツポツと顔を出してくれますよ。

枯れた株の抜き取りと片付け方法

十分に種がこぼれたのを確認したら(または増えすぎるのを防ぐために種をこぼしたくない場合は花が終わった直後に)、枯れた株をすべて抜き取ります。
ワスレナグサの根は非常に浅く、繊維質で柔らかいため、株元を持って優しく引き上げれば力を使わずにスポンと抜くことができます。
引き抜いた株は自治体のルールに従って可燃ごみとして処分してください。
抜き取った後の土を軽くほぐし、夏〜秋用の草花(インパチェンスやマリーゴールドなど)を植え付けることで、お庭の花壇を途切れさせることなく美しく回転させることができます。

まとめ

ワスレナグサは、儚げな美しさのなかに「タフな繁殖力」と「極度の水好き」という個性的なキャラクターを秘めた、魅力あふれるお花です。
「土を絶対にカラカラに乾かさない」「増えすぎを防ぐために植える場所を選ぶ」「梅雨前に種をこぼさせて、一年草として爽やかに片付ける」というルールさえ守れば、ガーデニングのこれ以上ない頼もしい味方になってくれます。
ぜひ、ワスレナグサの美しいブルーをお庭に定着させて、毎年春の訪れを楽しんでみてくださいね。

       

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